別の用事で本屋に行ったのですが、その時にこの写真集が気になりました。
『自分の住んでいるところから近い高尾山の写真集か…。』とあまり期待しないで読み始めたのですが、ページをめくるとそこには僕が知らいない高尾山がありました。
四季によってこんなにも違う情景になり、何より生き物の多様性に驚かされました。
欲しいなと思っていた本は立ち読みしたらイマイチだったので買いませんでしたが、この写真集は買って帰ることにしました。
彼の写真集は高尾山の一般的なイメージとは違ったものだった



高尾山の一般的なイメージは、都心からアクセスが良くて紅葉や新緑がきれいな日本で一番登山客が多い山というものです。
僕のイメージもだいたいそのような感じで、以前に撮影した写真もその通りに写っています。
写真には撮影者の心が写ると言われており、一般的な高尾山のイメージで撮影すればそのように写るので不思議なものです。
彼の高尾山の写真集は一味違っていて、そんな一般的なイメージを打ち壊して深い世界に引き込まれていくのでした。
ブログには写真を掲載できませんが雨の日も雪の日も高尾山に登って、ちいさな山の命に対して祈るようにシャッターを切った深い気持ちや様子が写真から伝わってくるのです。
ちなみに僕はこの紅葉の写真を『あっ、きれいだな。』と思ってさらりと撮りました。
写真に100%撮影者の気持ちが反映されるかはわかりませんが、そのような傾向は確かにあると思います。
この写真は3年前の秋に高尾山の一号路を歩いた時に撮影したものです。
当時はSONY RX1を使用していましたが、今見てもカールツァイスレンズの35㎜ f/2.0のキレ味は良いです(^^)
高尾山は生物の多様性に富んだ珍しい山
はじめのページに高尾山がいかに生物の多様性に富んだ山かが書かれていて、その数字を見て驚きました。
高尾山には植物が1300種類以上あり、イギリス全土の植物は1600種だそうです。
5000種類以上の昆虫がいて日本でも3指に入るそうです。
日本で見られる野鳥の30%を見ることができるようです。
そのあとのページには高尾山の季節を追うように植物や生き物たちが写真とともに紹介されています。
その写真が素晴らしいのは言うまでもなく、山の湿気や静けさをまとった独特の雰囲気の写真がとても印象的でした。
この写真集が一般的な登山者のイメージを打ち破るのは当たり前のことなのかもしれません。
近所の高尾山がこんなにすごい場所だったとは知りませんでした。
反省します…(;´・ω・)
高尾山が抱える問題

1984年圏央道の建設計画が発表されました。
圏央道の工事が進んでいく過程で八王子城跡にトンネルが掘られたことで、2005年5月に地下水が35メートル低下して沢の水や滝が枯れてしまいました。
そして2012年3月に高尾山を貫通する圏央道高尾山トンネルが完成しました。
高尾山にトンネルが掘られたことで水脈が変化して生態系が破壊されることが懸念されています。
僕は数年前から八王子市に住んでいるのですが、この写真集を見るまで圏央道の問題については全く知りませんでした。
それだけ一般に周知されていなかったことかもしれません。
圏央道が良い悪いの話にフォーカスすると本題からずれていってしまうのでやりませんが、この写真集の終わりに高尾山が直面している問題について書かれています。
佐野氏は高尾山のちいさな山の生命たちの写真を通して、この問題について考えてほしいという気持ちがあると思います。
高尾山に限ったことではなく、人間によって次々に破壊されていく自然について考えさせられてしまう写真集でした。
壊されるのが惜しいと思うのはそれが尊い命であり美しいからで、それをシンプルに表現できる写真家はやはり素敵だなと思います。
高尾山の深い世界を覗いてみたい方にぜひおすすめの写真集です。
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