絵画から写真について学んだこと

前回は美術館のアプリを紹介したので、今回は僕が絵画を見て写真について役に立ったなと思うことを少しまとめて書いてみたいと思います。

僕は純粋に絵画を見ることが好きなのですが、どうせなら写真にも役立てたいという下心的なものもあります。笑

こういう抽象的な概念を言葉にするのは僕の文章力ではすごく難しいので、言語化できそうな部分だけ紹介したいと思います。

ここで出てくる絵画はパリのオルセー美術館とルーヴル美術館のものです。

構図の参考になる

絵画と写真の共通していることは四角の枠の中に何をどう収めるかということです。

年代の古い絵画から新しい絵画までをパラパラと眺めていくだけでも、写真を撮るときに縦と横の構図をある程度自信を持って選べるようになるのではないかと思います。

ざっくりいうと中世までの宗教画や肖像画は縦構図が多く、それ以降から人物の背景に緻密な風景が描かれるようになり横構図の絵画が増えていきます。

チマブーエ 1280年

人間は縦長の生き物なので基本的に縦構図で表されます。

縦構図の方が人物そのものの力強さが引き立ちます。

人間の目の特性として人間を見るときには自然と縦方向に視線が動きます。

顔色を伺う、足元をみる、という身体の端々に関する慣用句があるように、僕たち人間は対面した人間の縦方向の全てから情報を得ようとします。

よって人物写真を撮るときには基本的に縦構図の方が自然なのだと思います。

人物を横構図にするにはそれなりの理由が必要なのです。

ドラクロワ 民衆を率いる自由の女神 1830年 

横構図で人物の全身を入れると横に余白が生まれるので、その部分に人物を取り巻く環境を綿密に書き込むことができます。

縦構図より人物単体のインパクトは弱まりましたが、横構図にして背景を描くことで画面の中に動きのあるストーリーが生まれます。

横構図は人物や風景のストーリーを作りやすいという利点があります。

あとは人間をたくさん描きたいときには必然的に横構図ですね。

ギュスターヴ・ギヨメ サハラ 1867年

風景画に関しては圧倒的に横構図が多いです。

例えば、高台から街や自然を一望できる場所にに出たときには視線は横方向に景色を追うと思います(展望台で首を上下に動かして景色を見る人はいませんよね…笑)。

この辺りは太古から人間に備わった特性だと思うのですが、横方向に視野が広い方が獲物を見つけたり危険を察知できたりして生存に有利だったということからきているのではないかと思います。

なので人間がざっと風景を見渡すときには横方向が自然なのだと思います。

縦方向に流れる滝やまっすぐ上に伸びる大木など特別な被写体でなければ横構図の方がストーリーが作りやすいと思います。

上の写真は厳しい自然の摂理と砂漠の美しさを描いた作品ですが、夕日の奥の方でキャラバン隊が駱駝を振り返っているようにも、振り返らずに遠ざかっていくようにも見えます。

夕日のグラデーションがビネットをかけたように視線を中心に引きつけます。

朽ち果てた駱駝とキャラバン隊の間には生と死の境があり、地平線の上には果てしない空が広がっています。

シンプルな構図のようで緻密に設計されたとても味わい深い要素を持った絵画で、寂しい絵なのですがどこか神秘的で気に入っています。

takayuki

一枚で様々な想像力を掻き立てるストーリーのある写真を撮れるようになれたら良いなと思っています。

窓越しの光は最強

ヨハネス・フェルメールという画家をご存知でしょうか。

ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer オランダ語: [joːˈɦɑnəs vərˈmeːr]1632年10月31日? – 1675年12月15日?)は、ネーデルラント連邦共和国オランダ)の画家で、バロック期を代表する画家の1人である。映像のような写実的な手法と綿密な空間構成そして光による巧みな質感表現を特徴とする。フェルメール(Vermeer)の通称で広く知られる。本名ヤン・ファン・デル・メール・ファン・デルフト (Jan van der Meer van Delft)。

Wikipediaより

2019年に上野の森美術館にフェルメールの絵画が集結したのを実際に見に行ったのですが、彼の光の描き方は他の画家とは一線を画すものだと思いました。

フェルメールが良く描いた光が窓際から差し込む光なのです。

フェルメールの現存する作品は37点と他の画家に比べると少ないのですが、その半数くらいの作品が窓からの自然光で描かれた作品です。

takayuki

難しいことはよくわかりませんが窓からの自然光が彼のお気に入りだったわけですね。

ここで紹介するフェルメールの作品はルーヴル美術館に収蔵されているものですが、人物が柔らかな窓からの光を纏っていますね。

窓際の光からは話がずれますがフェルメールの絵画にはもう一つ特徴があって、彼の絵画の青色には希少価値の高いラピスラズリという鉱石が使用されています。それによって深みのある青色になっているそうです。

窓際の光の美しさに気付いて、それを現実以上に神秘的に描けたフェルメールという画家の才能は偉大だったのだと思います。

フェルメールは関係なしにしても窓際の光は陽が差し込む世界ならどこでも美しいと思う瞬間があると思います。

僕はたまにブツ撮りや花の写真を撮る時に窓際の光を使っていて、窓越しの光をカーテンレースで拡散すると柔らかい良い感じの光になります。

ポートレートやテーブルフォトの作品でも窓際の光は多用されているので、写真の引き出しとして覚えておくと役に立つと思います。

takayuki

フェルメールの絵画とのギャップが凄すぎてアレですが僕が撮ったブログ用の写真を載せておきます…。

こうやって写真と見比べると絵画には緻密に作り込まれた美しさがあるのだなと改めて思い知らされますね。

全てを緻密な正確さで描かなくても良い

こちらは印象派というジャンルを代表する画家のクロード・モネが描いた絵画です。

クロード・モネ(Claude Monet, 1840年11月14日 – 1926年12月5日)は、印象派を代表するフランス画家。代表作『印象・日の出』(1872年)は印象派の名前の由来になった。

Wikipediaより

印象派という絵画のジャンルをざっくり説明すると、線を直接描かずに絵筆で絵の具をのせて絵を描く手法のことをいいます。

印象派という呼び名はモネが初めてサロンに作品を出品したときに、批評家のルイ・ルノワが「印象主義の展覧会」と皮肉ったことに由来しています。

takayuki

「印象主義の展覧会」とはモノの印象だけしか描いてないじゃんという皮肉だったのだと思います。モネをはじめとする印象派の画家は、まさに印象だけを抽出して描く新しい絵画の手法に挑戦した人々だったのです。いつの時代も出る杭は打たれるのですね。

モネの絵は太陽や水面を緻密な正確さで描写しているわけではないのですが、太陽や水面の印象を深く抽出して描いているので見る人を魅了するのだと思うのです。

こちらもモネの絵なのですが、木々や花を緻密に描くのではなく、それらの印象だけを抽出して描くという表現です。

これに少し似た方向性の写真表現がレンズのボケやオールドレンズの収差なのではないかと思います。

takayuki

モネの絵画とのギャップが凄くてアレですが、僕が撮ったボケの写真を載せておきます…。

ボケの部分にコスモスは写っていないのですが、ボケた部分には光を受けたコスモスの印象を写しているといえなくもないですね。

あえてボケさせたほうがコスモスの印象をより良く伝えられる場合もあるのではないかと思います。

モネや印象派の作品からは被写体の全てを高解像度で明確に描かなくても良いということを学んだ気がします。

ちなみに日本人はモネをはじめとする印象派の画家が大好きだと言われています。

レンズのボケの写真表現を多用するのも日本人に多いとも言われます。

あえて全てを表現しない美学というのが好きなのでしょうかね。

ボケの部分が多い写真というのは情報量が削られている状態なので写真として良くないという意見もありますが、まあそれは個人の好みなのでどちらでも良いと思います。

初期の頃のモネがそうだったように表現に批判はつきものですので、自分が良いと思ったことを実践していけば良いと思います。

日本が景気の良い時期にヨーロッパからモネや印象派の絵画をかなり買っているので、国内の大きな美術館に行けば実際の作品が見られると思います(モネは多作だったので世界中の美術館に作品があります)。

モネのような印象派の絵画が好きであればパリのオルセー美術館がおすすめです。

おわりに

ちょっとだけ紹介するつもりが意外と長文になってしまいました。

コロナウイルスが終息して早く実物を観に行けるようになる日が待ち遠しいですね。

何か役立つことが見つかれば幸いです。

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