最近、危うくソニーのα7cを買いそうになるという出来事がありました。笑
その時にカメラについて色々と調べたり考えたりしたことをアウトプットのためにちょっと書かせてください。
なぜソニーα7cを買いかけてやめたか

ソニーからフルサイズミラーレスでレンジファインダー型のカメラが出たのは知っていましたが、動画性能に特化した新しいカメラがまた出たのかくらいにしか思っていませんでした。
都内の大きなカメラ屋まで実機を見に行った時、α7cの近くにシグマから最近発売されたレンズが置いてありました。

こちらのシグマは10万円以下でコンパクトで鏡筒が金属製で高級感のあるレンズを出してきました。
これがまたα7cのレンジファインダー型のボディにしっくりくるんだ…。
現行レンズでクラシックな見た目のフォクトレンダーはとても良いと思うのですが、マニュアルフォーカスのみでやっていく自信がないのと、最新のカメラボディ性能がもったいないと思ってしまうのでがっつりと手を出せないでおります。
シグマから出ているこのIシリーズのレンズはAFレンズなので初心者でも安心して使うことができて、焦点距離も24mm,35mm,45mm,65mmとしっかり揃っており、5〜8万円くらいと比較的手の届きやすい価格になっています。
ああ、これめっちゃ良い!と思ったのですが…、維持するマウントを追加するという選択肢は予算的になしです。
最終的にはやはりニコンZシリーズのレンズが自分の撮影スタイルや作品イメージに合ってると思ったので、購入を踏みとどまったというのが前置きです(前置きが長くてすみません!)。
この結論に至るまではYouTubeやTwitterやブログをかなり読み漁りました。
その中でニコンのミラーレスカメラがなぜ他社に比べて出遅れているといわれているのかについて、他社ユーザー視点から少しわかったような気がしたので、それについて書いていこうと思います。
ニコンは動画機能が弱い

ソニーα7cはどちらかというと動画向きのカメラだということで、動画のことについてもニコンとの比較を色々と調べていました。
ソニーと比較してしまうとニコンの動画機能は弱いと言わざるを得ないと思いました。
2020年11月頃にニコンからZ6Ⅱ・Z7Ⅱが出てきましたが4k60pの動画撮影を行うとDXフォーマット(APS-Cサイズ)にクロップされます。
ニコンZ6Ⅱ・Z7Ⅱは高度なカラーグレーディングが行えるlog撮影は別売の外部レコーダーのみに記録可能です。
2020年8月27日に発売されたキャノンR6は4k60pの動画撮影が可能です(約30分でボディ内温度上昇で停止する)。
キャノンR6はSDカードを採用しておりlog撮影も可能です。
2020年10月23日に発売されたソニーはα7cは4k30pまでの対応ですがlog撮影が可能でSDカードに記録されます。
ソニーの動画撮影に特化したカメラのα7sⅢはなんと4k120pが可能になりました。
ニコンZの動画機能での残念なポイントは高速なデータ転送ができるXQDカードを採用しているのにも関わらず4k60pの動画撮影がノンクロップ行えず、log撮影に関しては外部レコーダーにしか記録できないということです。

SONYの中で特にα7sⅢの動画性能は圧倒的ですね。これだとキャノンがR5で半ば強引に8k動画を押し出してきたのも納得かもしれません。ニコンは良くも悪くも我が道を行っている感じです…。
なぜニコンのカメラの動画機能が弱いのかというと、おそらく画像処理エンジンの開発が他社よりも遅れているからだと考えられます。
最新のニコンZ6Ⅱ・Z7Ⅱは画像処理エンジンのEXPEED 6を2基搭載しているところから察すると、EXPEED単体での処理速度では4k60p・logなど動画撮影の高負荷な画像処理を行うことが難しかったのだと思います。
動画というのシャッタースピードの遅い静止画の連続なので撮影中は高速連写を続けているような状態です。
その画像を長時間に渡って処理して記録しなければならないので、画像処理エンジンの性能や排熱の問題はどうしても避けて通ることができません。
なのでニコンZ6Ⅱ・Z7Ⅱは負荷の大きい4k60pはクロップを採用して、log撮影は外部レコーダーのみの記録にしたのではないかと思います。
ソニーを使っているYouTuberだとlog撮影でカラーグレーディングをしている人がちょいちょいいますけれど、ニコンでそれをやろうとするとカメラボディの上に外部レコーダー(モニター兼用)を取り付けて撮影しなければなりません。
ちょっとやってみようかなの入り口に外部レコーダーはアマチュアにとってだいぶ厳しいのではないかと思います。
ニコンZシリーズはレンズの絞りにバイワイヤーを採用して動画にも対応できるようにしています。
なのでニコンも画像処理エンジンの性能が軌道に乗ればソニーのような使い勝手になる可能性を秘めているとは思いますが、動画性能に関してのスペックだけ比べるとニコンのミラーレスカメラは他社と比較してかなり遅れをとっているように思えてしまいます。
ニコンのZマウントレンズはとても良いと思いますし、動画撮影に適した仕様になっているので、ボディの方も頑張ってソニーやキャノンの水準になんとか追いついて欲しいなと思っています。
それでもニコンを使う理由

ニコンの弱点をズバズバと書きましたが、それでも僕がニコンを使う理由は動画機能をあまり重視していないからです。
それに加えて僕はニコンZのレンズに魅力を感じていますし、レンズのラインナップが僕の撮影スタイルに合っているということもあります。
上の項目で動画について散々書いておいていうのもアレですが、普通の人が現状で4k60p・4k120p・log撮影とか要らないんじゃないの?というのが僕の本音です。
わかりやすいスペックと広告でゴリゴリ攻められると購買意欲が掻き立てられますが(確かに凄いのはわかります)、本当にその機能にお金を払いますかという問題についてよく考えた方が良いと思います。
4k60pを長回しするとファイルサイズがニコンZ7などの高画素機の写真データが可愛く思えてしまうほどの容量になりますし、それをサクサク編集できるようなスペックのPCも必要です。
logで撮影してバチバチにカラーグレーディングされたYouTubeの映像を見てカッコ良いなとは思いますが、それを自分がやってみようという気持ちに今のところなりません。

ガチな動画撮影&編集環境を作るには諭吉100人とスクラムを組んで突撃していっても全然足りない可能性がありますから…。
僕はそれなりの画質で写真が撮れれば十分だと思っています。
動画はHD30pで撮影しても十分に綺麗だと思います。
4kとHDの画質の違いは見比べると確かにあるように思いますが、カメラのスペックよりもコンテンツの中身の方が大事だったりしますよね。
なぜ世の中的に動画が重視されているのか

今後インターネットの通信容量が飛躍的に向上していくので僕たちが日々消費する情報のあり方もどんどん変化してく可能性があります。
テクノロジーの進化と共に絵画や写真などの表現方法は変化し続けていていますね。
そして今最も拡大している分野の一つがYouTubeなどの動画コンテンツだと思います。
伸び代がある分野には大きなビジネスチャンスや活路があるので、カメラメーカー各社がそこを目指して製品を作っているというのが現在のざっくりとした流れだと思います。

数年前と比べても動画コンテンツで活躍する人が増えてきたと思いますし、僕自身も毎日のようにYouTubeを見ています。
19世紀にカメラが誕生してから画家たちの表現が変わりました。
誰でもカメラのシャッターを切ればありのままの姿が記録されてしまうので、記録としての絵画の意味が徐々に薄れていきます。
カメラの誕生によって肖像や風景を緻密に描写する必然性がなくなりました。
それが後の絵画の印象派やキュビズムなどの抽象的な表現が誕生した要因の一つだと思います。
印象派、モネ キュビズム、ピカソ
結局何が言いたいのかというと今ある写真も永遠に変わらない表現方法ではないということです。
カメラもフィルムからデジタルに変化して、今は動画という方向に変化しているように思います。
ガラケーの時代は写真一枚を送るのがやっとでしたが、今はスマホでYouTubeの動画をバンバン見ることができます。
おそらくもっと時代が進めばまた新しい映像表現が出てくるのかもしれませんが、そうなった時に今の日本のカメラメーカーはどうなっているのだろうかというのが興味深いですね。
相変わらずソニーが強いかもしれませんし、他の海外メーカーが台頭しているかもしれません。
今後の写真や映像表現がどう変化してくかなど未来のことは誰にもわかりませんね。
おわりに
最後にこれからは動画が伸びていくという話を書きましたけれど、だからといって写真がなくなることはないと思います。
動画と写真は撮り方の設定や使う周辺機材が全く違うので、一つのカメラで同時に静止画と動画を両立させるということが現状では難しいと思います。

動画撮影だと可変NDフィルターを使ったりシャッタースピードは固定が基本なので、動画撮影の設定のままでは作品的な静止画を撮ることが難しいです。写真と動画は似ているようですが別物だと思います。
話が大幅に逸れながらここまできましたが僕が調べて考えた限りでは、ニコンのミラーレスカメラの動画機能は2021年3月の現時点でソニーやキャノンと比較してやや遅れをとっていると思います。
4k60p・4k120pや8k動画が必要な方々は、現状ではニコン以外の選択肢にした方が良いと思います。
ニコンのミラーレスカメラの一番の魅力は新設計のZマウントレンズなので、レンズラインナップがさらに充実してボディ性能が底上げされればムービーのユーザーも含めてシェアを取り戻せる可能性は十分にあると思いますし、そうであって欲しいなと思っています。
僕は意識の低いアマチュアユーザーなので現状でもニコンZのカメラボディにある程度満足していますが、動画機能で先行しているソニーやキャノンにスペックで負けないカメラボディが出てきて欲しいなと陰ながら応援しています。
ミラーレスで先行しているソニーの方がサードパーティも含めてレンズラインナップが充実しているのは周知の事実だと思うので今回は深く触れないでおきます。